特殊車両通行許可と通行条件、誘導車が必要?夜間条件とは?
特殊車両通行許可申請につけられる通行の条件、特にC条件・D条件・夜間条件について解説しています。

特殊車両通行許可と通行条件、誘導車が必要?夜間条件とは?

特殊車両通行許可は、原則として禁止されている車両の通行を特別に許可してもらう。というものになります。
そのため、道路管理者としては通行を許可する代わりに条件を付けることができますし、実際に特殊車両通行許可には条件を付けて許可をすることは多くあります。

 

ここでは、特殊車両通行許可にあたっての条件について解説しています。
このページをご覧頂くと以下のことが分かります。

・特殊車両通行許可にあたって付される条件
・万が一、条件を守らなかったときの罰則
・夜間条件が付けられやすい申請

特殊車両通行許可 条件の種類の決め方

まずはなぜ特殊車両通行許可に条件が付けられるのか?条件の種類はどうやって決められているのか?を考えていきます。なぜ、そんなことをかんがえるのか?というと、その理由から逆算して考えるとなるべく条件が付かないような申請方法を考えることが出来るからです。

 

とは言え、実は当サイトのトップページにも記載しているのですが、もの凄く大雑把に言うと「一般の車両に比べて道路に多くの負担をかける特殊車両の通行を許可制にして手数料等の負担をさせることで、道路の維持管理の公平性を保つ」という目的もこの制度の目的に内包されていると考えられるのです。

 

そのため、出来る限り道路の維持管理や他の車両の通行に支障をきたさないように条件が付けられ、支障が出るものであればあるほど、付けられる条件が厳しくなると考えられます。

特殊車両通行許可で付けられる条件一覧

条件については、重量についての条件と寸法についての条件に分けて考えられ、重量に関する条件の方が厳しいものがあります。
まずは、一覧表でご確認ください。

記号
区分

重量に関する条件 寸法に関する条件
A条件 特別な条件を付さない 特別な条件を付さない
B条件 徐行をすることを条件とする 徐行をすることを条件とする
C条件

①徐行をすること
②他の車両との距離を確保することによって、通行する車線の一つの経間を同時に通行する他の車両がない状態で通行すること
③②のために許可車両の後方に1台の誘導車を配置

屈曲部、幅員狭小部又は上空障害個所の通行の場合
①徐行をすること
②対向車等との衝突、接触その他事故の危険を生じさせない状態で通行すること
③②のために許可車両の前方に1台の誘導車を配置し、その連絡又は合図を受けて通行すること
交差点の左折又は右折の場合①徐行をすること
②対向車等との衝突、接触その他事故の危険を生じさせない状態で通行すること
③②のため、 許可車両の前方に 1 台の誘導車を配置し、その連絡又は合図を受けて、誘導車に続いて左折又は右折すること。

D条件

①徐行をすること
②他の車両との距離を確保することに
よって、通行する車線の一の径間を同
時に通行する他の車両がない状態で通
行すること
③②のため、許可車両の後方に 1 台の誘
導車を配置し通行すること
④隣接する車線の前方(隣接する車線が
同一方向の車線である場合は後方)を
十分に確認し、他の車両が隣接車線を
通行しようとしているときは橋梁等へ
の進入を控えることなどによって、可
能な限り、隣接する車線における一の
径間を同時に通行する他の車両がない
状態で通行すること(すれ違い、追越
し等によってやむを得ず他の車両が一
の径間を通行することとなるときは一
時停止すること。)

では、順に解説していきます。
A条件
こちらは条件なしとなりますので、申請した経路で自由に走行することができます。申請者にとっても最も楽な方法です。

 

B条件
・徐行(全区間ではなく、もちろん、指定された区域内のみです。)
 通常は、橋梁・交差点等の通過時に徐行するように条件が付けられます。

 

C条件

・連行禁止
こちらも橋梁部分の通過時に課せられる条件で、他車が続けて走ってはいけない。という条件になります。重量の方に課せられる条件ですので、橋梁に大きな負担をかけないようにするための妥当な条件と言えます。
・誘導車の配置
 大きな道路を走っていると見かけることもあると思います。「誘導中」という表示をした車両が特殊車両の前後に並んでいたりするあれです。(令和3年3月29日以降、誘導車は基本的に前か後ろのどちらか1台でOKになりました。)
見通しの悪いカーブや交差点などの安全確保が目的です。

 

D条件

2車線内に他車が通行しない状態
他の車両が同一の経間の隣接車線にない状態で通行許可車両の後方に誘導車を配置

 

夜間条件
D条件となる車両と寸法に関してC条件となる車両で、かつ、車両の幅が3mを超える車両は夜間条件(午後9時~午前6時まで)となります。

 

許可された条件を守らなかったらどうなる?

特殊車両通行許可の違反についての取り締まりや罰則については、特殊車両通行許可取らないとどうなる?罰則は?にて詳細を解説しておりますので、そちらをご確認頂ければと思います。
ただ、許可条件を守らなかった場合でもかなり重たい罰則がありますので、改めてその部分だけご確認頂ければと思います。

 

もちろん、運転手だけではなく事業主にも同じように罰則が科せられます。

罰則

①道路管理者が道路標識によって通行を禁止又は制限しているトンネル、橋、高架の道路等において、標識に表示されている制限値を超える車両を許可を受けずに運行した者、又は許可内容および許可条件に違反して車両を通行させた者 ・・・6箇月以下の懲役または 30 万円以下の罰金
②車両の幅、長さ、高さ、重さ、最小回転半径等で制限を超 える車両を道路管理者の許可なく通行させた者、または許可条件に違反して通行させた者・・・100 万円以下の罰金

告発

通常の違反と同様に重いペナルティとして告発となる場合もあります。
①許可なくもしくは許可条件に違反して特殊車両を通行さ せ、死亡重傷等の事故または道路を損壊させる重大事故 を発生させたとき。  
②許可なくもしくは許可条件に違反して特殊車両を通行さ せ、通行の中止、総重量の軽減、徐行等の道路管理者の 命令を受けながら、それに違反したとき。  
③許可なくもしくは許可条件に違反して特殊車両を通行さ せることを常習的に行ったとき。

 

夜間条件が付けられやすい申請

上述の通り、確実に夜間条件が付けられるものは避けようがありません。
また、超寸法の車両にはかなりの高確率で夜間条件が付きます。重量に関しては、目安としては40tに近づくと付けられやすくなります。
通行経路はやはり交通量が一つの目安になると思います。国道1号線や23号線など昼夜を問わず交通量の多いところは夜間条件の中でもさらに厳しく制限されることがありますので、注意が必要です。(逆に言うと避けられない通行経路でもあると思いますが・・・)

 

どうしても夜間条件を避けたい場合は、可能であれば減トンするなどの検討が必要です。減トンする場合でもギリギリまで載せられるように検討するのが私どもの腕の見せ所でもあります。