特車申請をしていると必ず出くわすのが個別審査です。個別の案件の審査に入ったことを個別審査と同じ言葉で言うこともありますが、ここで言う個別審査とは、特殊な事情(例:交差点の通行が物理的に可能かどうか微妙。車両の重量が重く橋梁が耐えられる強度か確認が必要。等)があって個別にしっかりと審査をしなければ行けない場合を言います。
当然のことですが、個別審査が入ってしまうと通常よりも許可がおりるまでに時間がかかります。時間がかかるのですら嫌なのですが、最悪の場合、不許可もあり得るのが個別審査の嫌なところです。
では、具体的にどんなケースが個別審査になるのでしょうか?個別審査にならないような申請は出来ないでしょうか?
まず、「特殊車両通行ハンドブック2020」によると申請から許可(不許可)までの標準処理期間は新規の場合3週間以内。となっています。
あれ?そんな早く審査おりたことなんてあったかな・・・?と疑問に思われるかもしれません。
それにはこんなからくりがあります。
【なお、この期間は次の①~③の全ての該当する場合に適用されます。】
①申請経路が道路情報便覧に記載の路線で完結している。(収録道路のみ)
②申請車両が超寸法車両及び超重量車両でない。
③申請後に、申請経路や諸元等の申請内容の変更がない。
申請内容の変更はともかく、②はあきらめるしかないですし・・・①に関しては特車申請の多くが該当しないのではないでしょうか?未収録道路のない申請もありますが・・・
そういうわけで実際に標準処理期間内に許可がおりるケースは少なくなっています。審査をしている側からすると「道路情報便覧に記載していない=未収録道路です。」未収録なのでオンラインで確認できない以上、個別に審査せざるを得ないということです。
そうするとどうしてもマンパワーが必要なので、審査期間は長くなってしまいがちです。
個別審査になるケースは審査期間が長くなると言いましたが、その要因は2つです。
①審査に入るまでの期間
②道路管理者との協議
国道事務所以外が管理している道路(都道府県道や市町村道)の管理者との協議が一番時間のかかるポイントです。新しいデータが見当たらなかったので、やや古めのデータになりますが、平成31年4月時点で個別審査のない申請の平均処理日数が8.6日なのに対し、地方自治体との協議有りの場合、31.9日と約3.7倍の時間がかかっています。
慣れている自治体とそうでない自治体によって差も出るでしょうし、協議する道路管理者がいくつあるのかも影響すると思いますが、いずれにしてもかなりの時間を要することは間違いありません。
ここまで、建前と言いますか、机上での期間についてお話してきましたが、実際に許可を申請して本当にかかる日数はどれくらいなのか?
恐らく一番知りたいところかと思いますので、ここでご説明したいと思います。
このケースですと概ね標準処理期間内(3週間以内)に許可がおりてくると思います。国道事務所の混み具合ですとか時期によっても変わって来るかと思いますが、これくらいを想定しておくといいと思います。
未収録道路あり。といっても1か所なのか2か所以上なのか?とか2か所以上の場合、道路管理者が同じなのか別なのか?でも大きく変わってくるので一概に言い切れないところではありますが・・・
早くてプラス1か月、長いとプラス2か月位は見ておいた方がいいかもしれません。
超寸法車両と超重量車両
ともに個別審査となることが確定している車両で、一般的制限値どころか算定要領による許可限度寸法を超える車両(超寸法車両)、許可限度重量を超える車両(超重量車両)のことを言います。
超寸法車両・超重量車両の特車申請にあたっては、車両の軌跡図や詳細な通行計画書(通行時間・誘導方法・待避所の位置その他)、応力計算書等、通常の申請より丁寧な書類の提出が必要になります。
なお、基本的に夜間条件となることも想定しておかなければいけません。
念のため「特殊車両通行許可限度算定要領について(昭和五三年一二月一日建設省道交発第九九号、 道企発第五七号)道路局道路交通管理課長,道路局企画課長通達」をご参照ください。