特殊車両通行許可の取締りは年々厳しくなる一方です。その中でも高速道路会社6社が実施している高速道路の「大口・多頻度割引」の停止措置は頻繁に高速道路を通行している運送会社にとって直接的に経営に大打撃を与えかねません。
このページでは、そんな高速道路会社6社による「大口・多頻度割引停止措置」について説明していきます。
このページを読むと
・そもそも高速道路の大口・多頻度割引ってなんだっけ?
・大口・多頻度割引停止措置について
・違反情報はどれだけ共有されるのか?
・違反すると他社にも迷惑をかけるの?
ということが分かるようになっています。
大口・多頻度割引とは、高額な高速料金を多頻度で支払う運送事業者さんに対して、ETCコーポレートカードの利用を前提にその利用金額などに応じて一定の比率で割引をする制度です。
割引は、「車両単位割引(ETC2.0搭載車で最大40%)」と「契約単位割引(最大10%)」の2つを合わせて受けることが出来るので、金額にするとかなりの金額の割引になっています。車両の台数が多くなれば多くなるほどメリットは大きく、1か月で数百万円単位にも上ることもあり得ます。
まず、前提として違反した情報については、東日本高速道路(株)、中日本高速道路(株)、西日本高速道路(株)、首都高速道路(株)、阪神高速道路(株)、本州四国連絡高速道路(株)の高速道路6社で共有されます。
実際に違反をしてしまった際の点数と累積がいつまでされるのか?点数が積み重なってしまった場合の措置についてみていきましょう。
違反の程度に応じて以下のように分かれています。(平成29年に改正して厳しくなっています。)
違反種別 | 点数 |
---|---|
指導警告 | 3点 |
措置命令A | 5点 |
措置命令B又はC | 15点 |
即時告発相当 | 30点 |
措置等の内容は、分かりにくいですが一応以下のように定義されています。
用語 | 内容 |
---|---|
指導警告 | 車両制限令違反車両のうち、措置命令の発出基準に至らない違反に対する指導 |
措置命令A | 法定速度を遵守し、可能な限り低速で走行のうえ、指定する場所から流出させる行政処分 |
措置命令B | 法定速度を遵守し、可能な限り低速で走行のうえ、指定する場所まで移動し、当該車両の諸元を車両制限令に規定する制限値(通行許可を受けている場合はその許可値)以下になるよう、積荷貨物の分割等により軽減させる行政処分 |
措置命令C | 法定速度を遵守し、可能な限り低速で走行のうえ、指定する場所まで移動し、必要な通行許可を受けるまでの間、当該車両をその場に留め置く行政処分 |
即時告発相当は「総重量の最高限度の2倍以上の違反」が目安になります。
そして、累積してしまったことによる措置の内容です。
累積違反点数 | 措置内容 |
---|---|
30点 | 講習会等による指導 |
60点 | 一部割引停止(1ヶ月) |
90点 | 一部割引停止(2ケ月) |
120点 | 一部利用停止(1ヶ月) |
150点 | 一部利用停止(2ケ月) |
※ 即時告発の場合は、累積違反点数にかかわらず、「一部割引停止(1か月以上)」
違反点数の累積は、事業者単位で2年間となります。(4月1日から3月31日)
最後に違反をしてしまった場合にどこまで影響が及ぶか?とよくある質問です。
ある事業者が違反をして、その累積が割引停止措置などになると違反した事業者だけでなく、その事業者が加盟している協同組合(ETCコーポレートカードを発行している組合)の他の組合員まで割引が停止になったり、カードの発行が出来なくなったりします。自社以外にも多数の迷惑をかけてしまうことになってしまいます。
現金でもETCクレジットカードでも支払い方法に関係なく、企業単位(組合員単位)で車限令違反の点数は累積して計算されます。
指導警告書や措置命令書を受け取った場合、すみやかに所属している組合に申し出るようにしてください。(累積点数によっては、他の組合員に迷惑をかけないようETCコーポレートカードの返却を求められる場合があります。)
違反点数は事業者単位で累積されるので、組合Aを脱退し、組合Bに再加入したとしても、累積した違反点数はそのままとなります。(そうなると組合Bは加入を断る可能性が高そうです。つまり累積がある間はETCコーポレートカードが作れなくなりそうです。)