特殊車両の通行に関する新たな制度、特殊車両通行確認制度の概要
特殊車両の通行に関する新たな制度、特殊車両通行確認制度の概要

特殊車両の通行に関する新たな制度、特殊車両通行確認制度の概要

特殊車両通行確認制度は、令和4年4月1日から始まった制度で従来の特殊車両通行許可申請に比べ、簡単かつ迅速に手続きができます。

 

事前に一度だけ車両の登録をするとオンライン上でいつでも経路を確認して通行することができるようになるものです。基本的に即時に複数の経路が確認できるので、従来の特車許可と違い迂回なども可能になります。
ここだけを聞くと使い勝手がよさそうで、特殊車両通行許可制度に代わる新たな制度の誕生か?と思えますが・・・

 

残念ながら、なかなかに利用条件が厳しくそう簡単にはいかなさそうです。
ただ、従来の制度と共存しながら上手く活用することで事業者様にとってメリットが生み出せる制度ではあると思います。

特殊車両通行確認制度の利用の流れ

特殊車両通行確認制度は全てオンライン上で手続きが完了するものですので、面倒な手続きはあまりありません。パソコン等で24時間手続き可能です。

①車両を登録する

登録可能な車両は以下の通りです。

車両諸元
車種 右記以外 セミトレーラ連結車 フルトレーラ連結車及びダブルス
3.5メートル以下
重量 135.1トン以下 143.6トン以下 163.6トン以下
高さ 4.3メートル以下
長さ 16メートル以下 20メートル以下 21メートル以下
最小回転半径 車両の再外側のわだちについて12メートル以下

②登録手数料の支払い

登録手数料は1台につき5,000円(有効期間5年)
トレーラは登録手数料不要で有効期間もありません。

③オンラインにて通行経路の確認

自動で検索してくれます。希望の経路がない場合もあります。ない場合は、無料で再検索可能です。

④手数料の支払い

2地点間双方向2経路検索の場合:確認1件につき600円
都道府県検索の場合:確認1件につき400円(1都道府県あたり)
追加経路の検索:確認1件につき100円(経路延長10Kmまで)
        以降10Kmごとに100円

⑤回答書交付

この時点から通行可能です。最短で車両登録当日から走らせることが可能です。

特殊車両通行確認制度の利用条件

ここが一番の肝になる部分です。今後改善されていく可能性はありますが、今のところ使い勝手が良いとは言えないのはここが原因です。

 

・検索が可能な経路は道路情報便覧の収録道路に限られます。
(未収録道路は検索の対象外となります。)
・車両にはETC2.0車載器の装着・登録が必要です。
(通行経路の確認に利用します。)
・積載する貨物の重量に係る記録の1年間保存が必要です。
(乗務記録・送り状・これに類する書面により次の記録及び保存が義務付けられています。
①積載する貨物の重量
②貨物の積卸の日時・場所の記載

特殊車両通行確認制度のメリット・デメリット

特殊車両通行確認制度のメリットはこれまでも書いてきた通りではありますが改めてまとめていきます。

メリット
・回答書の交付までが早い
・経路が自動で複数選択されるので楽
・手数料の支払いもオンラインに対応

デメリット
・未収録道路に対応していない
・有効期間が1年と短い
・手数料が意外に高い
・登録ができない車両もある

未収録道路に対応していないのが一番のネックです。今後、未収録道路が減っていけばこの制度の利用価値も上がっていくものと思いますが、少なくとも数十年単位の時間が必要かと思います。

 

結論として、従来の【特殊車両通行許可制度】を利用しつつ、ごくまれに【特殊車両通行確認制度】も併用して使う。という使い方が現実的ではないかと思います。

特殊車両通行確認と特殊車両通行許可の比較


出典:一般財団法人 道路新産業開発機構「特殊車両通行確認制度の概要」

弊所では特殊車両通行確認制度の車両登録の代行も可能です。お気軽にご相談ください。